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KASUYAの税ブログ

相続税・贈与税

生前贈与の選択の分岐点は?

生前贈与のメリットとデメリットは   財産を生前に贈与するのか、それとも、相続のときに承継させるのかについて、ご相談されるケースが多い。 財産を生前に贈与するメリット・デメリットについて、説明します。 贈与税は、贈与者と受贈者との贈与契約により、財産の評価額に対して受贈者が支払う税であり、相続税は、相続を契機として相続財産に課税され、それを取得した相続人が負担する税であります。財産の所有者が生前に贈与すれば贈与税が受贈者に課税され、一方その財産を相続という方法で財産を相続人に承継させれば相続税が課税される。贈与と相続は、財産に対する取得が生前か相続時かの時点の違いがありますが、取得そのものは共通しているため、贈与税と相続税の課税財産評価の方法は共通です。しかし、贈与は生前で財産取得のため贈与税の税負担率を相続税よりも高くしており、贈与税は相続税の補完税と位置付けられております。    生前贈与する場合の予想贈与税率とそれを相続する場合の予想相続税率とを比較検討すると   例えば、相続財産を3億円(相続税評価額)所有していると仮定し、相続人が子供2人としますと、その相続税額は、69,200万円で、その負担率は、69,200万円÷3億=23%となります。しかし、この場合に適用される最高税率は、1億円から2億円の課税財産に適用される税率は40%となります。財産の平均負担率と適用される最高税率の違いは、財産額が高くなればなるほど高くする超過累進税率が採用されているからです。  そこで、子供1人に、1000万円づつ贈与するとしたら、贈与税額の計算は、次のようになります。  課税財産額は、1000万円-110万円=890万円となり、  贈与税額(直系尊属からの贈与税率適用)は、890万円×30%-90万円=177万円となります。  平均負担率は、177万円÷1000万円=17.7%となります。  贈与税の適用税率が30%で、相続税の適用税率が40%ですので、10%の階差があり、贈与しても有利となります。  それが4年後には、相続財産が1000万円×2人×3年間=6000万円が毎年贈与していたので、3億-6000万円=2億4千万円となります。基礎控除は相続人2人で、4200万円ですので、課税遺産額は、19,800万円となります。相続税の適用税率は、課税財産額は、相続人一人当たり9900万円で、1億円以下の適用税率となるので、30%の税率の適用となります。このことは、相続税の適用税率と贈与税の適用税率が同一であることの意味は、財産の取得に伴う税負担を相続税で支払うのか贈与税で支払うのかの違いだけで、有利さは発生しません。そのため、相続財産が22,000万円まで、減少してくると、その相続税の平均負担率は、3940万円÷22,000万円=17.9%で、贈与税の負担率とほぼ同率となりますので、その後、贈与をするのであれば、贈与額を減らし、適用税率20%以下の年間の課税価格を600万円以下にするのが、税負担の面からは、メリットとなります。  そこで、贈与税の負担のメリットを追求するのであれば、結論からいいますと、贈与税に適用される税率よりも相続税に適用される税率を低くなるような贈与額を選択すべきです。  なお、相続開始前3年内の贈与については、その贈与は、相続税に取り込まれてしまうシステムが採用されていますので、贈与税の負担の低減のメリットは享受できないような仕組みが採用されていますので、注意する必要があります。                    税理士 粕谷 幸男

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